第10回講義 【解答例②】契約を無効とする立場1(スターン夫妻の養育権を認めない立場)




【解答例②】契約を無効とする立場1(スターン夫妻の養育権を認めない立場)

私は,代理母の契約時においての同意の不十分さを理由に,スターン夫妻の養育権を認めないという判断を支持したい。


まず,第一に契約時のメアリー・ベスには十分な情報がなく、真の意味で自発的な同意があったとは考えられない。契約において十分な情報がなかったということは、重大な瑕疵である。メアリー・ベスは,妊娠後にどのような感情を抱くようになるか十分にはわかっていなかった。彼女は、赤ちゃんを身ごもって初めてお腹の中の子との絆の強さを知ったのである。


次に,彼女にとっては、生活が苦しい中での1万ドルは、あまりに大きな誘惑になっていたはずである。つまり,目の前の大金に目が眩んで,意に反した契約を結んでしまったということが想定できる。このような状況での契約は、契約を推進したいスター夫妻側に有利なようにリードされざるをえず,彼女が完全に自発的であったとはいえない。


自分が置かれている立場をきちんと理解していることが契約の成立する条件ではないだろうか。自律あるいは自己決定という理念に照らして見ても,同意が自発的でなかったのは、倫理に反する行為である。たしかに,両者は大人であり,形式上は対等な契約を行った。しかし,実質的には,正しい判断に欠ける,対等でない契約になってしまっている。


したがって,以上の理由により,契約は無効とすべきであって,実母であるメアリー・ベスに養育権が認められるべきであると考える。(595)


-----

医学部受験専門予備校
エコール麹町メディカル 原田広幸の誌上講義
「「わかる!使える!小論文・面接のルール と技術100」

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。